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7章 プラスイオンと電磁波が及ぼす害

7−4) 電磁波問題の発端

 電磁波問題が大きな社会的関心事として論じられるようになったのには、きっか
けがありました。1979年、アメリカ・コロラド大学のワルトハイマー、リーパ
ー両教授が『アメリカ疫学ジャーナル』誌に論文を発表、「高圧送電線の近くに住む
子どもは、そうでない子どもよりも二倍以上もがんや白血病になりやすい」という
ものでした。当時としては大変に衝撃的な内容で、これが発火点になって電磁波と
健康について本格的な研究が始まったといわれています。

 これを追認する形で、ノースカロライナ大学のサビッツ報告、さらにスウェーデ
ンの王立医学研究所であるカロリンスカ研究所の報告と相次いで発表が行なわれ、
小児白血病と電磁波の関連性について関心の度合いが高まっていきました。

 特にスウェーデンのカロリンスカ研究所が一九九二年に行なった報告は、一九六
○年から一九八五年までの二十五年問にわたる大規模なものです。

 スウェーデンの国民五〇万人を対象にした調査の結果は「高圧送電線の三〇〇メ
ートル以内に住む子どもたちほど白血病、脳腫瘍、リンパ腫にかかりやすい」とい
うもので、この報告が発表された当時は、「怖い」「恐ろしい」といった社会的不安
が生まれましたが、当然のように報告に対する反論、反発が噴出し、その因果関係
はもう一つ明らかにされないまま、いつしか忘れ去られていきました。

 今回のアメリカ国立がん研究所の発表データにしても、敏感に反応したアメリカ
は当事国として当然としても、日本でこのことを報道したテレビは皆無、一部の業
界紙を除き、全国紙で記事として取りあげたのは一社のみという関心の低さでし
た。これには私も驚いてしまいました。

 A紙の小さな記事(平成9年7月22日付)には、「磁場"推定無罪"」という見
出しがついていました。電磁波ではなく、物理用語である「磁場」という単語を使
っていました。これでは目立たないし、一般の人には何のことやらさっぱりわから
ない記事になっていました。

 高圧送電線下で、現実に幼い子どもたちにがんが多発していることは事実であ
り、因果関係がはっきりしないからといって、それで無害で安全というのでは、説
得力に欠けるのではないでしょうか。

 電磁波問題は、こうした高圧線の問題であると同時に、便利で、国際的なインタ
ーネットも含めた新しいライフスタイルのなかで、ますます増えていきます。高圧
線の下にいないからと対岸の火事を決め込んでいると、遠からず私たち白身の家族
や子どもたちの問題になっていくのは間違いありません。




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