ふつう電気といえば、日常利用している電灯線に流れる電気(電流)のことを想
像しますが、これは人間がより便利に生活していくうえで必要なものとして作り出
されています。しかし、ここでいう電気とは、大気中に存在している環境としての
電気、自然のなかにある電気のことです。
大気中に存在する電気は大気電場といわれ、「大気の静電電界」とも呼ばれていま
す。平たくいえば、電気のエネルギー、または「電位」(電気力を運ぶ)のことです。
大気電場は地球のあらゆる場所に存在していますが、場所や地形などによってそ
の電位は違ってきます。また、場所が同じでもその日の天候や気温、湿度の差で大
きく変化していきます。
イオン(ion)はこの電気エネルギーと大変密接な関係を持っています。大気
のなかには絶えず電気が走っていますが、同時にイオンも電気と伴走、というより
電気にぴったりとくっついて走っていると思ってください。つまり、電気の走ると
ころ常にイオンあり。イオンの存在位置はまさにそういうところにあるのです。
そして、電気にプラスとマイナスがあるように、イオンにもプラスとマイナスが
あります。
プラスイオン(陽イオン)とマイナスイオン(陰イオン)はこの大気中に無数にあ
って、常に空中に浮遊しています。プラスイオンは大きめな粒、マイナスイオンは
小さな粒です。イオン1個は直径わずか100万分の一ミリ前後という超極小微粒
子。大気中にプラスの静電圧が強いときは、空中に浮遊しているプラスイオンの数
がマイナスイオンより多くなり、逆に大気中にマイナスの静電圧が強いときは、マ
イナスイオンの数が多くなっていきます。
この二者はそれぞれの数値に正比例して増減を繰り返しているという独特の性格
を所有しています。
イオンを専門的な定義でいえば、「帯電した状態の原子」、または「原子の集団」、
言い方を換えれば、「電気を帯びた小さな小さな物質」といったところでしょうか。
ドアのノブや衣類をさわったとき、ビリビリとくる「静電気」は、水に結合して
マイナスイオンになるところが水分不足なので、行き場を失った電子がその物質に
帯電したケースです。静電気とは電圧だけがあって電気は流れていない特殊な状態
の電気のことをいいます。静電気も私たちの身近な電気の一つといえます。
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